界面活性剤フリーのクレンジングは本当に存在するのか

アンニテンプスのエッセンシャル クレンジング&ウォッシュにも、 ごくわずか(3%以下)ですが、界面活性剤を使用しています。

アンニテンプスに配合している界面活性剤の主な役割は、浮かせて落とそうとしているメイクなどの再付着防止です。
オイルクレンジング(一般的に界面活性剤10~40%配合)やクレンジングリキッド(水クレンジングと呼ぶものはほとんど界面活性剤や溶剤が洗浄成分の主体かと)は洗浄成分の主役が界面活性剤と言っても過言ではありません。

最近、「合成界面活性剤フリー」ではなく、「界面活性剤フリー」を大々的に謳う洗顔料を目にするようになりました。 ※合成界面活性剤フリーは、「合成」に重点が置かれているだけで界面活性剤フリーではありません。ほとんどが普通に(合成ではないという主張のもとに)界面活性剤を配合しています。

「界面活性剤フリー」の洗顔料やクレンジングを本当に作ることができるのでしょうか? ここ数年で目にとまった2つの製品の「全成分」をみてみました。


2番目のDPGなど気になる成分がいろいろありますが、4番目のPPG-9グリセリルはこれは界面活性剤じゃないかな...と思います。これで洗浄成分ゼロはどうでしょうか

▼ 原料名で検索をかけると、原料メーカーらしきサイトがヒットしました。
ここでは「保湿剤」と紹介されています。これは勝手な想像ですが、「界面活性剤の機能を有する」保湿剤というのをセールスポイントにしている原料ではないでしょうか。
▼ 化粧品原料のまとめサイトでは「非イオン界面活性剤)」として紹介
▼ こちらの原料まとめサイトでも「非イオン界面活性剤)」として紹介

▼ この成分まとめサイトでは「非イオン(ノニオン)界面活性剤)」「乳化剤」として紹介

洗浄成分ゼロだと主張する開発者側の言い分は、
おそらく原料メーカーの資料に「保湿剤」と明記してあるからこれは「界面活性剤ではなく保湿剤」なのでしょう。
(勝手な想像をまた繰り返しますが)原料メーカーのWEBサイト情報を見る限りは(界面活性剤の機能を有する便利な)「保湿剤」だと言ってセールスしているのかもしれません。


▼ もう数年前になりますが、「日本初」の界面活性剤フリーと大々的にアピールするクレンジングがありました。


全成分をみると...これは界面活性剤だろうと思えるものが2つ(赤枠部分)ほどあります。
この製品を作った側の主張は、それらの原料(実質的に界面活性剤)を「保湿剤として使用している実績がある」といった「化粧品会社側の目線での解釈」を行っているとしか思えません。
今の時代、化学の専門家でなくてもその原料名で検索かければ「界面活性剤である事実」は容易に見つかるハズです。
化学を学んだ人ならすぐ気づくことだと思うのですが、
そこまでして「日本初・界面活性剤フリー」にこだわる意味があったのか甚だ疑問です。

▼ 実際に、日本初の界面活性剤フリーのクレンジングの商品名と界面活性剤フリーで検索をかけると、ある化粧品開発者の方のブログがヒットしました。
この化粧品開発者の方の見解も「これで界面活性剤フリーというのは無理があるような」「活性剤フリーは誇張しずぎでは」といった感じです。

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私が知る限り、 本当に界面活性剤フリーで作られたクレンジングが市場に出たのは7~8年前くらいに1商品だけです。 神奈川大学が特許を取得していた「特殊な乳化法」を用いたクレンジングが確かに存在していました(商品名は失念しました。今もソレがあるのかどうかはわかりませんが)。


アンニテンプスのエッセンシャル クレンジング&ウォッシュの商品企画時も、理想は界面活性剤フリーでしたが、最終的に若干の配合を行うことにしました(マルチゲルは界面活性剤フリーで商品開発) お肌へのやさしさと一定の洗浄力の両立を目指した結果です。

でも、いつか近い将来、もっと進化した洗浄方法が確立して
真の界面活性剤フリーの洗顔料やクレンジングが当たり前になって、「敏感肌で合う洗顔料が見つからない!」というお声がなくなる日が来ることを願っています。