【酒さや酒さ様皮膚炎に関する情報ページ】

 

■「酒さ」と「酒さ様皮膚炎」について
当社の関係先の皮膚科ドクターに伺いました(2019年2月)

 

酒さとは


[概要]
酒さとは、鼻や頬、顎などが赤くなる病気を指します。30歳以上の女性にみられることが多いといわれています。
特徴的な症状として皮膚の赤みがあげられますが、ぶつぶつとした皮膚の盛り上がりもみられます。 こうした症状から、ニキビと間違われることもありますが両者は異なるものです。
皮膚の不衛生を原因として皮膚が赤くなっていると誤解し、顔をゴシゴシと洗ってしまうこともありますが、こうした行為は逆効果となるため注意が必要です。

[原因]
酒さの原因は、まだ完全に明らかになっているとはいえません。遺伝的な要因や環境因子が複雑に関与していると推定されています。
ただし、不潔にしていたから発生するような類いのものではありません。 毛細血管が拡がり、通常よりも多くの血液が流れることから酒さの症状は現れます。 そのため、毛細血管が拡がることを促進するようなことが、酒さの症状が悪化する因子であるといえます。
具体的には以下があげられます。

●辛いものなど刺激物を多く摂取する
●アルコールやカフェインを多く飲む
●寒暖がはっきりした環境で長時間過ごす
●太陽の光を長時間浴びる
●感情が高ぶる状況
●過度の運動
●ホルモンバランス異常
●喫煙習慣
など

また、皮膚の症状が気になるあまり過度に顔を洗ったり、化粧品を使い過ぎたりすることも症状を悪化させる可能性があると考えられています。

[症状]
酒さによる症状は、顔のなかでも鼻や頬、顎、額などにみられます。症状のはじまりは周囲の皮膚と比べて頬や鼻などが淡く赤くなります。
初期段階では皮膚の盛り上がりはなく赤みが目立ちますが、症状が進行すると毛穴の部分が小さく盛り上がりを示すようになります。 さらに、鼻においても皮膚の盛り上がりが起こることがあります。鼻の盛り上がりは、女性よりは男性に起こりやすい症状です。
皮膚の赤みや盛り上がり以外にも皮膚の火照りを感じたり、ピリピリとした軽い痛みを感じたりすることもあります。 酒さでみられる症状は、一日のなかで変動することも特徴です。原因に挙げたような増悪因子があると、症状が悪化することもあります。 さらに、酒さでは目の症状を自覚することもあります。具体的には目の乾燥感、しばしばした感覚、目の充血などです。

[検査・診断]
酒さの診断は、その特徴的な皮膚症状や増悪因子の有無などをもとにしてなされます。
皮膚の症状を目立たなくするために化粧品を使用されている方もいますが、化粧をしていない状態で皮膚を観察するとより判断しやすくなるため、 診断を受ける際には化粧などはせずに受診することが大切です。
また、皮膚症状をより詳細に評価するために、ダーモスコピーと呼ばれる器具を用いて皮膚を観察することもあります。

[治療]
短期間で症状をなくすことは難しいため、長期間の治療介入が必要となります。
経過中に良くなったり悪くなったりすることもありますが、根気よく治療を継続することが大切です。 酒さでは、原因に挙げたような要因をもとにして症状が悪化することもあります。そのため、治療の一環としてこれらの要因を避けることも必要です。

治療薬としては、ビタミン剤や抗生物質の内服を検討します。 赤みがある状態ですが、ステロイドを使用すると症状の悪化が懸念されるため、 抗生物質入りのクリーム、 タクロリムス軟膏、イオウ含有ローションなどが使用されることがありますが、外用治療によりかえって症状が悪化することもあります。 また、鼻の盛り上がりが強い場合には、皮膚を削る処置がとられることもあります。

赤みが目立つため、常時マスクを使用される方もいますが、マスクをすることで皮膚の刺激になることも考えられます。 また、化粧についても過剰になりすぎて皮膚に負担をかけないよう考慮が必要です。

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「第82回日本皮膚科学会東京支部学術大会③ 
シンポジウム2-4 酒皶と思ったら、考えること」
東北大学大学院 皮膚科准教授 山﨑 研志 氏
↓リンクをはることが出来ませんのでご参考までにURLを記します
[https://www.radionikkei.jp/maruho_hifuka/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-191014.pdf]

酒さかもしれない...と思ったときに、
まず何を確認すべきか、それを学術的に丁寧に解説してくれています。
花粉や紫外線などの季節的要因や脂漏性皮膚炎などとの合併症などを図解で説明されているような資料を見たのはこれが初めてでした。
酒さに関する詳しい資料はなかなか手に入りませんので、大変貴重な資料ではないでしょうか。
東北大学の山﨑研志先生の「お名前」と「酒さ」で検索することでも資料が見つかるかと思います。
 
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酒さ様皮膚炎とは


[概要]
酒さ様皮膚炎とは、酒さと呼ばれる赤みを伴う皮膚症状が生じた状態を指します。 主にステロイド軟膏を長期的に使用することによって起こる病気です。 しかし、使用している方すべてに生じるわけではなく、一部の方に発症することから 遺伝子の関連性も推定されています。

酒さ様皮膚炎は症状が治まったり、悪化したりを繰り返すこともまれではなく、 長期間に渡る治療が必要となることもあります。

[原因]
酒さ様皮膚炎は、ステロイド軟膏の長期使用が主な原因です。
湿疹やアトピー性皮膚炎などの治療において発症がみられます。 アトピー性皮膚炎で主に用いられるタクロリムス軟膏も、酒さ様皮膚炎の原因となるので注意が必要です。

ステロイド軟膏による治療効果が現れると、皮膚の血管が収縮し徐々に炎症もおさまります。 しかし、治療効果が得られている状況でステロイドを使用すると、徐々に皮膚が萎縮し皮膚の構造が乱されるようになります。 その結果、酒さと呼ばれる皮膚症状が現れるようになります。

ステロイド軟膏を使用して半年ほど経過すると、副作用としての酒さ様皮膚炎が生じる可能性があるといわれています。 ただし、副作用が出現するまでの時間は、ステロイドの強度による部分もあります。 また、同じようにステロイドを使用しても、酒さ様皮膚炎を発症する方と発症しない方がいることから。遺伝学的な要素の関与も推定されています。

[症状]
薬剤を塗っている部位に一致した皮膚症状がみられます。 局所の毛細血管が拡張する結果、毛細血管を流れる血液の色が前面に出てきます。 そのため、皮膚が赤く見えるようになったり、腫れあがりを示すようになったりします。 腫れの程度が強くなり、浮腫状になることやニキビのようにプツプツとした盛り上がりを示すこともあります。

皮膚の見た目の変化に加えて、酒さ様皮膚炎では自覚症状が現れることがあります。 皮膚が火照った感じやヒリヒリした感じなどです。 酒さ様皮膚炎は、原因となっているステロイド軟膏を中止した数日後に症状が悪化することも特徴です。

[検査・診断]
酒さ様皮膚炎では、使用している薬剤状況をしっかりと確認することが重要です。 具体的には、ステロイドの強さや使用頻度、使用している部位を確認します。 また、使用を中止した際の皮膚症状の悪化状況を確認することも有益です。

接触性皮膚炎などのそのほかの皮膚疾患との鑑別(見極める)が必要になることもあります。 これを判断するために、たとえばパッチテストなどの検査が追加で検討されることもあります。

[治療]
ステロイド軟膏の使用を原因として発症する病気であるため、ステロイド軟膏の使用を中止することが必要です。 しかし、ステロイド軟膏を中止すると、一過性に皮膚の症状が悪化することもあるため、経過についてはあらかじめ予測を立てておくことが重要です。
急激な皮膚症状の悪化を避けるために、あえて強度を抑えたステロイド軟膏を使用し、段階的に完全中止までもっていくこともあります。

また、免疫調整剤の軟膏や抗菌薬の内服が使用されることもあります。抗菌薬の使用は数か月に渡ることもあります。 酒さ様皮膚炎では、毛細血管の拡張が長期間残存することもあります。これに対応するために、レーザーによる治療が行われることもあります。


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