『ようやく6年前に酒さと診断してくれた医者に出会いました』
【2019.10.17レビュー】

「酒さ」と呼ばれる皮膚疾患について知ったのが 約7年前のこと。 そしてちょうどその頃... まだ「酒さ」という病名もまだはっきりとわからないまま お困りになられていたお客さまから過日、このようなメールが届きました。



「酒さ」のお客さまが皆さん異口同音に仰ること。それは皮膚科に行っても「酒さ」と診断されることはなかなか無いようです。 2ヵ所、3ヵ所と皮膚科での治療、診察を繰り返しつつ 症状に改善がみられないまま、数年後にようやく「酒さ」 だったという診断結果が得られるケースは本当に少なくないと痛感します。
正しい診断結果があってこそ、 薬だけではなく日々の生活習慣やお肌のお手入れに際して、どのような点に注意すべきか、意識すべきポイントは何であるかが決まってくると思います。
「酒さ」の症状が気になるあまりに、お顔を入念に洗ったり、化粧品をあれこれたくさん使っても、逆に「酒さ」の症状を悪化させる可能性があります。
以前、皮膚科のドクターより「酒さ」についてヒアリングした内容をもとに、「酒さ」の症状を緩和させるためのスキンケアはどうあるべきか、下記に簡潔にまとめました。

酒さの症状を緩和するスキンケアと注意点とは

●過度な洗顔はしない


肌が不衛生だから皮膚が赤くなったりする訳ではありません。力を入れてゴシゴシお顔をこすったりするのは逆効果です。
「酒さ」でなくても、肌は擦らないのが原則です。 「研磨剤(スクラブ)」などは入った洗顔料は可能な限り、避けてください。

また、お肌の角質層はラップ1枚分の薄い層(約10~20μm)なので、ブラシなどで擦るのも厳禁です。たまにテレビCMなどでブラシで肌を擦る映像を見かけますが、「酒さ」や「敏感肌」「乾燥肌」の方は決して真似をしないでいただきたいと思います。
ブラシでどんなに擦っても毛穴は決して綺麗になりません。肌を傷めるだけです。お肌に最も優しく触れることが出来るのは、お肌そのもの(すなわち手など)です。

●クレンジングに注意


「酒さ」の赤みをメイクで隠したくなる心情は重々お察しいたします。ただ、そうなるとクレンジングも必須アイテムになってくるのですが、このクレンジングには注意が必要です。 理由はクレンジングに含まれる界面活性剤です。
オイルやリキッドタイプなど、強い洗浄力を持つものは避けるのが賢明です。また、クレンジングを入念に時間をかけて行うのではなく、出来るだけ短時間(約40秒以内)で済ませることがポイントです。
メイクを落とすことも大事なことですが、肌の保湿成分までも一緒に落とし過ぎないこと、それが肌の健康のためにはもっと重要なことです。

●メイク落とし後の洗顔料でのダブル洗顔はNG


いわゆるW洗顔は、肌の乾燥を招くリスクが高まるので止めましょう。ダブル洗顔不要のクレンジングをお選びください。
オイル系・バーム系などはそもそも油剤が主体なので、ダブル洗顔不要と謳った商品でも結局は、肌のベタツキ感が気になるために洗顔料でダブル洗顔している女性は意外と多いようです。タイプ別であえて言うならば、水性のジェルタイプがおすすめです。

※ダブル洗顔は、言い換えれば、「食事の汚れや油汚れのお皿」を「食器洗い洗剤」で洗った後に、「石鹸」で再びお皿を洗うようなことと同じ行為です。そもそも油性の汚れが落とせるほどの洗浄力があれば、水性の汚れも一緒に洗い流せるのではないでしょうか。

●化粧水を過信しない


空気が乾燥し始める10月、化粧水の重ねづけしてもあまり意味はありませんし、逆に肌を傷めることにもなりかねないので化粧水で何度もパッティングしたり、化粧水をお肌に「たたき込む」ようなことは避けましょう。
&そもそも、化粧水の水分がお肌の潤いのもとではありません。お肌に存在する水分は、身体の中から常に浸みだしている水分です。肌細胞のみならず、人間のカラダの細胞は、体内にある水分で潤っているのです。肌の角質層中の水分だけが、化粧水の水分で出来ているなんてことはあり得ません。

化粧水を過信して肌を潤しているつもりが、実は、ただ肌表面を濡らしているだけで逆に乾燥を招いていることに気づいていないケースが多々あります。水分そのものを「外部から与えても」本当の保湿にはならないのです。
皮膚科学の観点では、「化粧水は無くてもいい」と言えます。「酒さ」の症状が出ているお肌には、出来るだけ刺激を与えないことが肝要なので、肌の保湿効果の意味が薄い化粧水などは行わない方が無難かもしれません。

●適切な保湿を心がける


保湿を目的とした化粧品や化粧品の成分はたくさんあります。どれを選んだらいいのか、判らないという声を度々耳にします。そんな時、一番に考えて欲しいのが「セラミド」です。「セラミド」は肌の角質層中で水分をサンドイッチ状に挟み込むことが出来る脂質成分です。空気中の湿度がどんなに低下しても、しっかり水分をキープできる最強の保湿成分です。

「酒さ」の患者さまに対して皮膚科で処方されるお薬の中には強度が低いステロイド系の他に「ヒルドイド®」などもあるようです。この「ヒルドイド®」は保湿系クリームとして優秀との評判で、普通に店頭で買うよりも皮膚科で処方薬として買う方が安価ということもあって、これに保険を適用するのが保険行政上いかがなものかと問題にもなりました。 この「ヒルドイド®」の処方箋を見るとその内容成分が何かがわかると思いますが、これは「ヘパリン類似物質」です。「ヘパリン」という物質に水分保持力があることから、その類似物質を保湿成分として応用したもので医薬品としても使用されています。 ただ、この「ヘパリン類似物質」の保湿力よりもより保湿力があるとされるのが「セラミド」です。「セラミド」配合の美容液系やクリーム系の保湿化粧品を選ぶのがおすすめです。
※ヘパリン類似物質には「血行促進作用」があるので、酒さや酒さ様皮膚炎の方がご使用されるのは要注意ではないでしょうか。もし治療の一環で処方された際はドクターにその意図を伺うことをおすすめします。

「酒さ」と正確に診断できる皮膚科クリニックが増えることを期待しつつ、「酒さ」に関する情報が圧倒的に不足している現状を少しでもフォローできるように今後も「酒さ」にかかわる生きた情報の発信を心がけて、「酒さ」でお悩みの方々、「酒さ」のお肌でも大丈夫な洗顔や安心してメイク落としができるクレンジングの方法などを提供し続けて参る所存です。
ありがとうございます。

《追記》 先日、博多駅アミュプラザ3階の東急ハンズ(※2023年10月現在はハンズ博多店)コスメコーナーでアンニテンプスの無添加スキンケアのプロモーション販売を実施しました。
すると短時間のうちに、酒さの症状で皮膚科に通院されていらっしゃる3名の方とお話する機会がありました。酒さはアトピー性皮膚炎などよりも症例が圧倒的に少ないと知人の皮膚科医から聞いていましたが、そうとも言えない気がします。

酒さに関して意識が向いているせいか、街を歩いている時やスーパーで買い物している時でも、少し赤みのあるお肌の方をよく見かけるようになりました。酒さは女性の方が多いとのことですが、男性でも赤みを帯びて少し皮膚が盛り上がった感じの方も時折目にします。お肌をゴシゴシ洗っていなければいいのだけれど。。。

【この記事は2019年10月17日にアンニテンプスHP上に投稿した内容のレビューです】